1978 年のトルコの植物誌 Vol. 16(1978flora of Turkey vol.16)においてデズモンド・マイクル氏Desmond Meikleは、トルコにおける生息地を紹介しています。しかし、すべて標本調査に基づいており、彼はトルコを訪れたことはありません。グレイウィルソン氏Grey-Wilsonはデズモンド・マイクル氏の考えをほぼ踏襲し1988年「cyclamen」を刊行しております。英国シクラメン協会はデズモンド・マイクル氏の見解を確かめるために1987年からC.coumを始めに自生地調査を行っています。そのC.coumはブルガリア東からトルコを中心としてロシア西から東まで、南はシリア、レバノンに至る広大な自生地を有しております。
1.経度による変化
西から東へ、若しくは低地から高地へ向かうにつれ、あるいは一定の群落を作ることにより変異を示すこともあります。この中でC. coum subsp. caucasicumはトルコ北東部からコーカサス西部に自生しておりますがC. coum subsp. Coumとの間に明確な境界はなく、トルコ北東部からコーカサス西部に徐々に移行してゆくと言われています。トルコの黒海沿岸では、東に行くほど葉の形が丸みを帯びた形からハート形に徐々に変化し、葉縁はギザギザが目立ち、花弁は長くなり、丸みも少なくなります。さらに目は西で見られた白からピンクへと変化すると言われてきました。英国シクラメン協会はこれらの確認をするため現地調査を行ったところ広範囲な自生地もあれば小さいところもあり、葉と花の特徴が非常に均一である場合もあれば、変動することもあること、また、西の個体群、東の個体群2つの間にきちんとした明確な切れ目はありませんでした。シクラメンの変異の幅が広く、丸い葉と卵形の葉が隣接していたり、小さな花と大きな花が隣接していたりもあったようです。目の色はC. coum subsp. coumは白、C. coum subsp.caucasicumではピンクですが、1987年と1988年の記録ではトルコでピンク色の眼を持つ植物はまれであり、むしろ北西部と南部で北東部よりも多く見られたようです。書籍でははるか東の個体群は、トルコ北東部の個体群よりも均一で、C. coum subsp.caucasicumを特徴づける特徴がよりはっきりしているかもしれない、シクラメン協会がジョージアでこの種の研究に着手することを強く希望するととも書かれている。
2.緯度による変化
イスラエルでは、大多数の植物が卵形の葉と短い花弁を持つことが調査で判明したが、この組み合わせはどちらの亜種にも当てはまらない。これらの南部の個体群(トルコ南部のアマヌス山脈、さらにシリア、レバノン、イスラエル)は、かなりの期間にわたって比較的に隔離された状態で進化し、その過程で今日見られるような特殊な特徴を持つようになった可能性があるとも。coumの南部個体群では各亜種の特徴(subsp. coumの小さな花、subsp. caucasicumのよりハート形の葉)を併せ持っているように見えるが、いずれの亜種においても、その特徴が当該亜種ほど顕著ではなく、個体群には、同属の他の個体群から「確実に」区別できるような単一の形態的特徴は見られない、更なる調査が必要とも書かれている。
subsp. caucasicumの花冠裂片の長さは12~20mm。別の書籍では10~15mm.。2014年のレバノンの野外調査では2つの花を調べ12.6mm及び15.6mmであった。
3.標高による変化
標高が高いほど葉は丸みを帯び、花弁は短くなる。このような高度の影響はこれまで報告されていなかった。
subsp. caucasicumの詳しい説明は1898年にFriedrich Hildebrandフリードリッヒ・ヒルデブランド氏が書かれた「Genus Cyclamen L」にありますので、それはいずれ紹介させていただきたいと思います。

